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「あ、そういえばあなたの事は何て呼べばいいのかな? 普通はあなたのクラスで呼ぶって聞いたけど、私まだ教えてもらってないよね? 名前は……私つい呼んじゃいそうだから」
少しの間余韻を楽しんだ勇魚は、傍らのパートナーにそう問いかけた。
サーヴァントの方もすっかり忘れていたようで、勇魚の言葉に「そういえばそうでしたね」と返すと、しばしの間考え込む。
「私のクラスをお教えしても問題ないのですが、クラスで呼ばれるのもあれですし……」
どうも彼女は自身のクラスを余り快く思っていないらしい。
「名前を縮めて、語呂が悪いですね。クラスと名前を……いえ、流石にこれはありえませんし――」
サーヴァントは1人でブツブツと呼び方の候補を挙げては、あれでもないこれでもないと切り捨てる。
すぐそばに居る勇魚はそんな彼女を急かすこともなく、代わりに名前を提案する事もなく、ただただその声を聞いてクスクスと笑いながらパートナーの答えを待っていた。
「……そうですね、なんだかいいのが見つかりませんので『まにわに』とおよび下さい。私が他の方々に付けた呼び名ですが、素敵でかわいらしい呼び方ですので」
悩んだ末に提案した呼称としては微妙な出来だったが、それもまた二人にとっては最良の結果だった。
こんな呼び方をし続けては、警戒も緊張もしようがない。
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