第1章

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「な…んで…俺の名前…」 クスクス… その顔…レアモノかもね 「…早く…教えてよ、理事長室」 「…ははっ完敗だよ、紗和ちゃん」 …やっぱりこいつ 圭兄さんの下にいた奴だ 圭兄さんは私の兄 私が少6の時に、圭兄さんは全国 トップの族の総長だった 憧れでもあった あたしは深い溜め息をついた 「…圭さんは元気?」 「うん。元気過ぎて五月蝿いぐらい」 男…優は、ははっと笑って話を続けた 「まさか紗和ちゃんが俺を覚えてるだなんて…おもわなかったなぁ」 「…お互い様でしょ?」 「そうだね」 優は私に微笑んでから理事長室につくまで一言も話さなかった 「…此処だよ」 「有難う、優」 私が下から優をみて御礼をいってから理事長室のドアに手をかけたとき 反対側の腕を優に掴まれた 「…ねぇ紗和ちゃん、やっぱり可笑しい…」 「…なにが?」 「…だって俺達があったのは10年以上前だし、 顔付きだって変わってるはずだ それに俺"達"は紗和ちゃんの情報を圭さんに聞いていたけど…」 「…クス」 優の必死に聞いてくる問い掛けに我慢していた笑いが でてしまった 「なに…笑ってるの?」 「…わかるよ」 「…なぜ?」 私はドアにかけていたほうの手を優の頬にあてた 「…私が、完璧だから」 優は「は?」とマヌケな声を出して呆然としていた 「クス…有難う、優…またね」 ――バタン 私の見間違えじゃなければ、閉めたときに 写った優の顔は… あの紳士スマイルを浮かべていた…
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