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僕達は、父様の言葉に目を輝かせた。
当時の僕達にとって、不思議な力を使うことが出来るファンタジーの世界は憧れだったんだ。
しかし、同時に疑問も沸き起こった。
「どうしてわかれたの?」
そう言ったのは、僕の隣で父様の言葉に耳を傾けている、僕と瓜二つの顔の兄弟。
「それはな、食べ物のせいで起きた喧嘩が原因なんだ。」
父様は、再び説明を始めた。
「食べ物で喧嘩したの!?」
再び、僕の隣から驚いた声が上がった。
「そうだ。それに、喧嘩は酷くなる一方で、仲直りする気配もなかったから、話し合いをして決まったんだ。」
一旦話を止めて、僕達がまだ寝ていないことを確認すると、再び続けた。
「分け方だが、人間にも意地悪な人と優しい人がいるだろう?」
「うん。」
「それと同じ様に、生き物達にも意地悪なやつと優しいやつがいたんだ。」
「意地悪しちゃ駄目なのにね。」
父様の言葉に、僕達は顔を見合わせて言うと、父様は、そんな僕達に大きく頷いて更に続けた。
「そうだ。だから、意地悪なやつは、他の生き物を虐めないようにと、会えないようにされた。まぁ、分け方は生き物によって違うがな。」
「へぇー。」
「だが、ここからが問題だ。人間達はこの事を時が経つにつれて忘れていったんだ。お前達が生まれたということは、危険が迫っているというのになぁ?」
僕達の相槌の後、父様は何処か悲しげな目をして言った。
そんな姿を、僕達は寝るまでずっと見つめていた。
これが僕達の人生に関わる話だったとは知りもせずに。
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