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中崎は睦月の通う高校の英語教師でよく「厳しい」と生徒から言われる人物だ。 宿題を忘れてきた生徒には宿題を二倍にして返す。 授業中、居眠りをした生徒には、その授業の間は問題をよく当てた。 その反面、成績が悪い生徒に根気よく指導をしたり、生徒の悩みに応じたりしていたので、評判は概ね好評だった。 睦月は英語の成績が思わしくなく、放課後、教室に残って友人達から教えを請うた。 それでも、成績が上がらず、期末テストの結果は散々だった。 親にこっぴどく叱られ、中崎からも注意を受けるのかと思った。 ところが、意外にも中崎は「よく、頑張った」と睦月を褒めた。 どうやら、睦月が放課後も残って勉強したのに気付いていたらしかった。 それから、睦月は中崎のことが好きになった。 授業中、姿を見たり、廊下ですれ違うとどきどきした。 近付きたくて、積極的に質問しに行くことが多くなった。 成績のことで気に掛けてもらえるのが嬉しかった。 けれど、そういう事も今日を境に失くなっていくだろう。 気持ちを伝えることもなく、失恋したのだから。
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