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「死にました」
「はぁ、そうですか」
………………………
「って、ええ!?」
あまりにもあっさりと言うもんだから危うく流してしまうところだった。
「いきなり大声出さないで下さい。」
いや、自称佐藤さんこそいきなり変なカミングアウトしないで。
「死んだって……」
「まあ、元々からだが強い方ではなかったんですが」
自称佐藤さんは哀しそうに首を横に振った。
「病気?」
何か重い持病でもあったのだろうか。
「いえ、交通事故です」
…………………………………………………………
駄目だ、もうついていけない。
そもそも、こんな変態に少しでも付き合った俺が馬鹿だった。
逃げるために佐藤さんとの距離を確かめる。
佐藤さんとの距離は約5メートル、十分逃げられる距離だ。
逃げようと、右足に力を込めた
瞬間、5メートルは離れていた佐藤さんが、自身の左足で俺の右足を押さえ込んでいた。
「っ!」
いつの間に!?
「私を認識したと同時に臨戦態勢に入る、いい反応です。流石、格闘技をやっていただけはある」
なんて力だ、右足が動かない。
いくら俺に力がないって言ってもびくともしないのは常人技じゃない。
「ですが、困るんですよ、逃げられると。最終的な決定権はあなたにあるとしても、まずは話を聞いて戴かないと始まりませんからね」
なんだ、こいつ。
あの、飄々とした態度に隠れていたのだろう、今になってそれが良く分かる。
こいつはヤバイ、それも、相当なレベルで。
俺は一体、何に関わっちまったんだ?
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