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まあ、俺はそんな人どうでもいいんだが、残念ながら幼馴染(女)が大ファン。
だから聞きたくもない英雄譚を真っ昼間から毎日聞かされていた。
学校だけならまだしも、春休みにまで家に来て話すもんだからたまったもんじゃない。
というかお前、なんとかっていうどっか遠くの高校に行くんじゃないのか?
準備しろよ、準備。
「で、その時筑紫(つくし)様が」
筑紫ってのは英雄さんの名前だ、名字は霧乃(きりの)。
彼女の信者の事を霧シタンという。
「凉芽(すずめ)、それもう10回くらい聞いたぞ?」
「そうだっけ?でも何回聞いてもいい話でしょ?」
凉芽ってのは幼馴染みの(中略)名字は齋藤(さいとう)。
お前のせいで筑紫さんのこと嫌いになりそうだぜ。
「で、筑紫様のお子様が私の行く高校に入学するんだって!」
黒い、くりっとした両目をキラキラさせながら凉芽が言う。
「お前、だからあんな遠いとこの高校行くのか」
「うん」
うん、てお前。
「て、あー!!忘れてた!今日は筑紫様の特番やるんだった!
続きはまた明日ね!」
と言い残し腰まである黒髪をなびかせながらドアを閉めずに出ていく。
「……………」
ドア閉めるついでに散歩でもするか。
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