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「あ、そうだ。姉ちゃん」 ん? 「姉ちゃん、『かさの』っていうんだろ?」 「ああ」 傘乃敏(かさのさとし)が俺の名前だ。 「それがどうかしたか」 「さっき変な兄ちゃんから姉ちゃんに伝言頼まれたんだ」 「変な兄ちゃん?」 「うん。サングラスかけた黒スーツの兄ちゃんが姉ちゃんに大事な話があるから、六時に公園丘に来てくれって。」 なんだその怪しい格好。 「大事な話ってのは?」 「『しゅっせ』がなんとかって言ってた」 しゅっせ? 出世? ………………………………………あ、出生? それならあり得る、俺は捨て子だったらしいし。 「そっか、ありがとな、伝えてくれて」 「べ、別に、じゃあな」 照れちゃって、可愛いもんだね。 しかし、六時か。 今が五時半だから、 あと30分何してるかな。
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