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今でも覚えてる。
入学して、真っ先に声を掛けてくれたのは、
「ねーねー、それ、なんのゲームっ!?」
要だったね。
声を掛けられて、顔をあげたら驚くくらい可愛い顔がそこにあって、
俺は一瞬固まった。
それで、数秒してから、
「……バイオハザード」
そう答えた。
もしかしたら、ひとめぼれだったのかもしれない。
俺は要を好きになったこと、後悔なんてしてないよ。
たとえ、
要が男でも、
叶わない恋だとしても、
俺を友達としか見ていなくても、
要が俺に笑ってくれるだけで十分なんだ。
「爽ちゃん」
あ、要……。
いつものように可愛い笑顔で俺を呼ぶ要。
「爽ちゃん」
そう、そうやって甘えた声で俺の名前を呼んでくれるだけで……
「爽ちゃん……」
俺は十分すぎるくらい……幸せ……なんだ……。
要、好きだよ。
俺、好きなんだ……要のことが……ずっとずっと……前から……好、き……
「……爽ちゃん!!」
「っ!!!!」
突然、耳元で何事かと思うくらいデカい声がしたと思ったら、さっきまで俺に笑いかけていた要の顔が一瞬にして消えた。
そして、その代わりに、
「爽ちゃん!いつまで寝てんの!?」
呆れた顔で俺を見下ろす妹、奈々の顔が現れた。
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