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俺、速水爽悟には好きな人がいる。
その人の名前は、
逢沢要。
正真正銘、男、だ。
男が男に恋をするなんて、おかしな話だと分かってはいるけど、どうやら俺は“そういう類”の人間らしい。
昔から「いいな」と思う人はなぜかみんな男で、しかも、可愛い系。
可愛いなら女子でいいじゃんとか思うんだけど、なぜか可愛い女子には惹かれない。
可愛い男子じゃないとキュンとこないのだ。
物心ついたときからそんな状態だったから、俺は普通の男女の恋愛なんてものとは全く縁がない生活を送ってきた。
もちろん、女子に告白されることはたくさんあったけど、全部断っていた。
初めて付き合ったのも男で、初体験も男。
だけど自分から告白したことは一度もない。
全部、相手から。
「好きだ」と言われて、悪くないなと思ったら付き合う。
だから、今までに自分が好きになった相手と付き合えた試しは一度もない。
まあ、実際は、付き合いたい!と思えるほど誰かを好きになったことがないのだけれど。
なんとなく「可愛いな~」くらいのレベルで、「付き合いたいな~」のレベルには達せずに終わる。
そのため、誰かに告白されれば簡単に気持ちが傾く。
ようは、本気で人を好きになったことがないのだ。
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