俺の好きな人

7/12

3162人が本棚に入れています
本棚に追加
/260ページ
『王子』と言うフレーズは学校でもよく聞いてる。 そう、よく聞いている……! 俺の学校で『王子』と言えば、それは『七瀬煌輝』にあたる。 七瀬煌輝。 ここまで名前負けしてないヤツもめずらしい。 まさにコイツは名前のごとく光り輝いているのだ。 高身長に、モデル並みのスタイルの良さ。おまけに顔は整ってるわ、頭は良いわ、運動神経抜群だわって、欠点がなにひとつないから女子が黙っていない。 いつもキャーキャー言われて『王子』と崇められている。 そして俺は、そんな王子・七瀬が嫌いだ。 別にモテていることをひがんでるわけじゃない。 そうじゃなくて、この男、実は俺の恋敵。 俺が要を好きなように、コイツも要を好きで、俺たちはいわゆるライバル。 お互いそんな話はしたことないけど、やっぱり同じ人を好きな者同士、そのへんは直感で分かるのだ。 何より厄介なのは、七瀬が要の幼なじみだということ。 当たり前だけど、要は七瀬を気に入っているし頼りきっている。 きっと七瀬は俺の知らない要をたくさん知っている。 俺と過ごしてきた期間より、七瀬と過ごしてきた期間の方が遥かに長いから、いつか要は七瀬を好きになるんじゃないかって、不安なんだ。 俺も同じくらい好きだけど、正直勝てる自信がない。 俺にとって“幼なじみ”は絶対に乗り越えることの出来ない壁なのだ。
/260ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3162人が本棚に入れています
本棚に追加