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『王子』と言うフレーズは学校でもよく聞いてる。
そう、よく聞いている……!
俺の学校で『王子』と言えば、それは『七瀬煌輝』にあたる。
七瀬煌輝。
ここまで名前負けしてないヤツもめずらしい。
まさにコイツは名前のごとく光り輝いているのだ。
高身長に、モデル並みのスタイルの良さ。おまけに顔は整ってるわ、頭は良いわ、運動神経抜群だわって、欠点がなにひとつないから女子が黙っていない。
いつもキャーキャー言われて『王子』と崇められている。
そして俺は、そんな王子・七瀬が嫌いだ。
別にモテていることをひがんでるわけじゃない。
そうじゃなくて、この男、実は俺の恋敵。
俺が要を好きなように、コイツも要を好きで、俺たちはいわゆるライバル。
お互いそんな話はしたことないけど、やっぱり同じ人を好きな者同士、そのへんは直感で分かるのだ。
何より厄介なのは、七瀬が要の幼なじみだということ。
当たり前だけど、要は七瀬を気に入っているし頼りきっている。
きっと七瀬は俺の知らない要をたくさん知っている。
俺と過ごしてきた期間より、七瀬と過ごしてきた期間の方が遥かに長いから、いつか要は七瀬を好きになるんじゃないかって、不安なんだ。
俺も同じくらい好きだけど、正直勝てる自信がない。
俺にとって“幼なじみ”は絶対に乗り越えることの出来ない壁なのだ。
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