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体育館の扉を開ければ、外に爆音が流れ出る。
夕日に照らされる4人がいた。
暁良の存在に気づいた彼らは、演奏を中止した。
「少し遅かったな。進藤。何かあったか?」
初めに話しかけてきた背の高い男子は、『御厨 浩次(ミクリヤ コウジ)』。
今のところギター担当である。
今のところ、というのは、どうやら御厨はほどんどの楽器を使いこなせるらしく、今は暁良のコーチのためにギターを持っている。
どこに配置されても良かったらしいが、暁良という重荷を解消するにはベストな役だった。
だが、このバンドを建ち上げたのは他でもない御厨である。
つまりは、暁良のコーチ役に、自ら買って出たということだ。
理由は明確で、『親友』だからだ。
古くからの友である御厨には、言葉のいらない仲であった。遠慮がちな暁良も、御厨に喜んでレッスンをつけてもらったのだ。
「じゃあ、進藤を組み入れて立ち位置を直すぞ」
御厨がそう呼び掛けて、暁良は彼の右後ろに着く。
すぐさまギターケースから取りだし、演奏の準備を進めた。
後ろには電子ピアノとドラムがつき、先頭に御厨。左にベースといった形にある。
「どうだ暁良。浩次の教えは身に付いてるか?」
左のベース担当から話しかけられた。
『岬野 仁(ミサキノ ジン)』。あまり、話したことはない。
ただ、風貌と口調がかなりきつい。
いかにも不良柄というか、ヤンキーのようだ。言い方は悪いが、遠回しに言うよりかは数倍伝わりやすい。
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