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な、何を言ってんだ!?俺。
「そっか。君も気があるって...」
変な誤解を生む前に、暁良は手で制した。
「違っ、そうじゃなくて...」
ふと視界が暗転した。
「なにしてるの?二人とも」
不意に声をかけられ、思わず目を向ける。
そこには店内にいたはずの欹織がいた。
中腰の二人を見下すように直立している。
「欹織!?」
阿良治に気をとられている間に、いつの間にか二人を発見していたようだ。不覚にも。
だが、問題なのは、さっきの会話が耳に入ったかどうかだ。もし、聞かれていたとすれば、共々多大なダメージを負うだろう。
阿良治は避けられ、暁良は気があるのだと勘違いされてしまう。
率直に聞いた。
「き、聞こえてた?今の」
どうやら欹織にはわからないらしく、
「なんのこと?」
と返された。
ひと安心。
安堵の表情を浮かべる。
だがもうひとつ。聞かねばならない事項があった。
なんとも相手の苦味をえぐりとるようで、言い惜しんでしまいそうだ。だが、目撃したとあらば鮮度あるうちに叩くのが最良だ。
暁良は問いかける。
「今...、ここで何をしてたんだ?...欹織」
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