三味線

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ままたく間に展開された事態の収集に、少々時間がかかった暁良だった。 なんとか収まりがつき、一言でまとめる。 『あの欹織が許してくれた』 これからバンドに関しては妨害が入らなくなる。 そう思うだけで体が小刻みに震える。心の中はすでに歓喜で溢れ返っていた。 つまりは、今までのようにこそこそと続けることも、欹織の動向を探ることも無くなる。 動向を探るなんて、ストーカー行為に見なされても致し方ない。 これで危険をおかすことも無くなったわけだ。 暁良の両翼はすでに呪縛から解放されたのだ。 思えば同じ母体に産まれた者同士が、こんな形で相見えるのはおかしいだろう。 近くに母は居ずとも、欹織が母代わりのようなものだ。 もっとも『愛』など感じないが。
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