とある噂話

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何の確認もなく相手は扉を開けた 待ちかまえていた赤城が腹に拳を打ち込む 下から突き上げるかたちの一発 その鋭い一撃に、出てきた細身のチンピラはなにも出来ずに倒れ込んだ 少しうめき声をあげたが中で騒いでいるからだろうか、誰も気付かないようだ 聞こえる声だけを数えると奥には3人まだ残っている 「姿を覚えられるのは面倒だ、これで決める」 そう言うと手に持っていたボールを投げ入れる ボールの中の気体が抜ける音、そしてその後に何かが倒れるような音が複数回 しばらくした後、赤城は結を入り口に残して奥へ進んでいく 奥から更に鈍い音が二回、最後に倒れる音が一回 「もういいぞ、入ってこいよ」 どうやらうまくいったようだ 奥から赤城が呼びかける 結はそれを聞くと、布にくるんでいた荷物を開いて赤城のもとへ持ってくる 中身は本物そっくりの美術品 つまりすり替え作戦だ
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