蛟の波瞳(ナミダ)

7/17
前へ
/162ページ
次へ
黄「この先は僕ら鵺一族の縄張り…。紫戯…もう一度、今度は僕の口から警告します…。この先、一歩で我らの縄張りに入り込もうでもしたら………………即殺しますよ…。」 パチンっ… 黄輝が指を鳴らした瞬間一斉に、騒がしくなる黄輝の周りの木々達…。 同時に鋭く光りを放つ二つの瞳が次々に現れはじめる…。 雷狼【紫戯様…!!!…我ら……囲まれています……!!!】 紫「………ちぃ…。黄輝………」 黄「争いは好みません…。見た所、紫戯…貴方の身体も相当な痛手を負ってるもよう…風の噂で聞きました…おそらくあの妖狐一族のトップ…翡翠とやりあったのでしょう…。それとも八咫烏一族トップ…紅夜との争いの後ですか……」 紫「うるせー………」 黄「ふっ…。どちらにしても醜い闘いですね…。一つだけ質問させてください…紫戯…。」 紫「なんだよ………」 黄「貴方にとって鋭い牙や爪、そして特殊な能力はなんのためにあると思われますか?」 紫「ははっ…、おもしれー質問…。そんなのな、目の前に存在する敵をずたずたに切り裂くために決まってんだろ………そうあんたみてーな奴をさ……」 黄「そうですか…。爪や牙……特殊な能力…それらの存在が貴方にとって敵を切り裂くためだけの物ならば……僕は宣言しましょう…。」 紫「ごたごたうるせーんだよ…!!!!かかってくるならこ……………」 鵺一族の森へと躊躇もせずに紫戯の一歩が踏み締められる…。 瞬間…… シュッ………… ザクッ…… 紫「…………フッ…………ガハッ………」 目にも留まらぬ早さ緑色の細長い物体が紫戯の身体を一瞬で貫く…。 紫「……何……しやが………」 ガクンと膝から崩れ落ちる紫戯の姿を黄輝は冷酷な瞳で見据える……。 黄「僕の爪や牙、特殊能力は仲間を護るためだけに振りかざす………」 震えあがるほどの瞳の力に紫戯は初めて心の底からの恐怖を覚えた…。
/162ページ

最初のコメントを投稿しよう!

255人が本棚に入れています
本棚に追加