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ザンッ……
大きな鈍音とともに傷だらけでボロボロになった翡翠の身体が地面へと身を沈める…。
扇(翡翠第一側近)【翡翠様…!!!!!おのれ!八咫烏一族め…もう我慢なりません…!!!】
翡「………!!!やめろ………扇………!!手だし無用と………言ったはずだ………」
扇【……何故です…!!そんなにボロボロにされて……何故私達に動くなと命令を……!!!】
翡「この闘いには僕一人で充分だ…。」
扇【何故……何故ですか…。こちらにも相手の数に相応できるだけの部下達がいます…!!それなのに……何故お一人で戦おうと………】
紅「もうだまれよ…扇さん…。」
扇【紅…………夜…】
紅「…狐一族は賢い妖だって思ってたけど…案外、さっき尻尾巻いて逃げてった狼野郎とおんなじような脳みその持ち主なんだな……。こいつは…」
翡「フグッ………」
倒れた翡翠の髪の毛をがしりと紅夜は掴みあげ強引に顔をあげさせる…。
扇【翡翠様を…!!!放せ………】
翡「黙れ…。扇…」
扇【翡翠様……】
紅「……こんな忠実なる多くの部下を持ってるのに…扱い方もわからないなんてただの愚か者だな………翡翠…。勿体ない…。」
翡「ふっ…。確かに愚かかもしれない…。でも一族のトップという物は常に仲間のためにあるもの…。紫戯の奴の仲間の扱いは気に入らない…しかし、決戦に奴は俺と同じ一騎打ちを望んだ……」
紅「だから?」
翡「一族のトップであろう物が部下達の中に隠れ自分の手など汚す事なく闘う卑怯者のお前に比べ紫戯は数百倍も強い妖だって事だよ…。僕を殺したとしてもお前にこの国のトップは無理だ」
一瞬走る緊迫な空気とともに紅夜の額横の血管が浮かび上がる…。
紅「言いたい事はそれだけかな?天下の九尾狐様?」
翡「……扇……。」
扇【………翡翠様………】
翡「僕に最期が近づいている…。命令だ……仲間を連れて今すぐに遠くまで逃げろ…。」
扇【…!!!何故……嫌です…死なせる物です…………】
翡「命令だ…!!!僕のために流す仲間の血など僕は見たくない………」
扇【翡翠様…!!!】
翡「逃げて逃げて…争いなどない地へと着く事ができたら……後にお前が群れのトップとなるんだ………そしてこの国のトップへとこの国に住む数万の妖達を導く事のできるトップへと……なって欲しい…」
突然響きわたる風の轟音が決戦場を包み込む
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