蛟の波瞳(ナミダ)

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*** 黄「風が荒れてきましたね………翡翠でしょうか…。」 紫「ハァ…ハァ………あっ……?」 黄「それとも蛟一族のボス蒼魔にこの醜い争いが伝わってしまったのでしょうか………」 紫「蒼魔に………………」 黄「これだけ四つの大きな勢力が争ってるんです…蛟一族も気づかないはずがない……風、炎、雷、木々……全て強力な力には間違いはない……しかしどれも水という大きな威力の前では無力に等しい………。もうすぐ…嵐がやってきます…。蛟一族のボス…蒼魔が本当の怒りを見せるとならば………トップ争いなどしてる場合なんかじゃありません…。」 紫「この国自身が………が……滅びる…。」 黄「………どうやら…森がざわめきだしましたね………紫戯…。嵐はどうやら本当にくるみたいです……それもとてつもなく大きな…………海の方角から……大きな大きな…何か恐怖のうねりが……僕には聞こえます…。」 黄輝の言葉に答えるように吹き付けていた風はすぐに豪風となり二人を襲いだす…。 黄「さて………逃げましょうか…。みんな…できるだけ遠くへ……闘いは終わりです………」 黄輝の言葉に数万の鵺達が一斉に羽根を広げる…。 紫「ふっ…。勝った…。鵺一族などに屈してたまるかよ………ハァ…ハァ…蛟一族?蒼魔?………そんなもん………ハァ……もな…俺の手で………捻り潰してやる………」 黄「…………愚かですね…。自分の今おかれている状況も把握できないなんて……貴方の胸に今ささっている植物の正体は最強の吸血植物…悲壮蘭【ヒソウラン】の弦…。ここまで持ちこたえた貴方の精神力には参りますが…ほとんどの血液を失った今の貴方に待つ物は………死のみ…。」 紫「………ハァ……ハァ……ツゥ…………」 黄「絶対主として一族のトップへと君臨したボス…。そんなボスをもし群れが失ったとしたら……崩壊しかその一族には残されません……紫戯、貴方にほんの少しでも仲間を思う気持ちがあるのならば……それなりの言葉を群れに伝える義務があるはずです…。」 飛び立つ黄輝…。 その後ろを次々と鵺達が追い掛けていった…。
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