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「お前は……?」
目の前に突然現れた光の珠に向かって、話し掛ける俺。
ああ、そうだった。帰宅途中、携帯ゲームに夢中になって赤信号に気が付かなかった俺は、トラックに轢かれたんだ。
それで確か、よく話に聞く走馬灯が本当に脳を駆け巡り意識を失った。
大した思い出もない、平凡な人生だったなぁ……とか思いながら意識を失ったのを覚えている。
死ぬのはとても怖いものだが、案外、本当に瀕死の状態になると、人間はそれを受け入れてしまうと俺は勉強した。
いや、俺がこの世に何も未練が無かったからか?
まあ……さっきの一言を聞く限り、ここは既にこの世じゃなさそうだけど。
「私は神」
「神?神様って事は……俺は本当に死んだのか……」
「その通りだ。浜流 光一(ハマル コウイチ)はトラックに轢かれ呆気なく死んだ」
「やっぱりあの後助からなかったのか……」
俺のフルネームで、遠回しに俺が死んだことを伝えてくる神。
気を使ってるのか?
「人間。自分が死んだにしては冷静だな」
「まあ……つまらない人生だったんで」
生きていようと、死んでいようと、俺にとっては同じようなものの気がする。
ただ、死ぬのは怖いから生きていただけ。
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