第一話 「死んじゃいました」

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「お前は……?」 目の前に突然現れた光の珠に向かって、話し掛ける俺。 ああ、そうだった。帰宅途中、携帯ゲームに夢中になって赤信号に気が付かなかった俺は、トラックに轢かれたんだ。 それで確か、よく話に聞く走馬灯が本当に脳を駆け巡り意識を失った。 大した思い出もない、平凡な人生だったなぁ……とか思いながら意識を失ったのを覚えている。 死ぬのはとても怖いものだが、案外、本当に瀕死の状態になると、人間はそれを受け入れてしまうと俺は勉強した。 いや、俺がこの世に何も未練が無かったからか? まあ……さっきの一言を聞く限り、ここは既にこの世じゃなさそうだけど。 「私は神」 「神?神様って事は……俺は本当に死んだのか……」 「その通りだ。浜流 光一(ハマル コウイチ)はトラックに轢かれ呆気なく死んだ」 「やっぱりあの後助からなかったのか……」 俺のフルネームで、遠回しに俺が死んだことを伝えてくる神。 気を使ってるのか? 「人間。自分が死んだにしては冷静だな」 「まあ……つまらない人生だったんで」 生きていようと、死んでいようと、俺にとっては同じようなものの気がする。 ただ、死ぬのは怖いから生きていただけ。
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