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走り抜けて、目の前に現れたのは大柄な男だった。
身長は高いが華奢で、つつけば折れる、とまではいかずとも痩せていてとても健康だとは言えないような身体つきをしていた。
「おぉ、メアリー!!」
僕が腕に抱えた女性を見た男性はこれまた叫ぶかの如く大声で、そう言った。
そして奪いとるように女性をその手で抱き上げた。
多分だが女性の名はメアリーなのだろう。
「・・・君は何者だ?」
ひとしきり落ち着いた男性は僕にそう質問してくる。
言葉の通じる相手でよかった。
「僕は・・・クリストです。」
とっさだったがここは一応偽名で通す事にした。
わざわざ誠の名を言う必要もないし、何よりメアリーという名前の女性なのだから横文字の名前にしておくに越したことはない。
「そうか。クリスト君、君はどこから来たんだ?」
・・・どこから?
日本、と答えればいいのだろうか。
しかし名前を横文字にしたのだから日本ではおかしい。
いや、でもそもそも彼等は日本語を使っている。
「どこから・・・」
そんな思考を一瞬で繰り広げつつ、答えを探す。
「私はそこのドリーミリー村のアルスだ。アルス・クライアント」
すぐ側に村があるようだ。
「そしてここはナイトメアの島」
さらに脳を働かせるがそんな名前の島は聞いた事がない。
どうするかと迷っていたら
「まぁ・・・どこの者かは知らないが、メアリーを助けてもらった事には変わりない。うちの村にきてはどうだ?」
願ってもない申し出。
断る理由もないので返事をし、アルスの後を着いて行くことにした。
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