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シャワーを浴びた誠は髪を乾かす。
今度は・・・よし、いい感じ。
自分の顔を覗き込む。
いたって平凡だ。
別に毎日変わりもしない僕の顔。
肌は白い。
あまりインドア派というわけでもないが、体質なのか黒く焼けることはない。
誠は鏡を見るのを止め、服を着ておいしい料理とともに待つ彼女の元へと向かう。
「あら、もう出たの?今朝は早いね」
彼女はそう言って笑う、美嘉の微笑みは本当に心を癒してくれる。
この女性がいるからまた今日も頑張れる、本気でそう思う。
ただ、欲を言うなら、もっと甘えてほしい。
最近は自分ばかり甘えてしまっている。
「そろそろ単位がまずいんだ、あまり講義に出ないわけにはいかない」
なんて言うが、それなら寝坊するな、と言われればそれまでだ。
しかし美嘉はそんな野暮なことは言わない。
「じゃあ頑張らないとね」
彼女はウインクをして親指一本だけたてたグーを僕に向ける。
「さ、ご飯食べよ」
ドアの所で突っ立っていた僕の手をとり彼女に引かれる。
僕も握り返す。
平和だ。
しかしこんな平和がいつまでも続いたらどれだけ幸せなのだろうか。
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