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肌が弱くて、蚊に刺されたら眠れないほどの母と私。
ゼラニウムで蚊を遠ざけようとしていたのだろう。
ゼラニウムを見て、満足気に眺める祖母の姿が目に浮かんだ。
この香りは、愛情の匂い。
長い間ずっと、手間をかけて愛情を注いでくれた。
祖母の愛はいつもそうだった。
ゼラニウムの花が涙で霞み、私はまぶたいっぱいに祖母の顔を思い浮かべた。
久しぶりに見た笑顔だった。
この夏も、私達は祖母に守られている。
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