肴.2

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「迷える仔羊がまた一匹…」 彼女は暗闇に似合う不気味な笑みを浮かべ、俺を椅子に座らせた。 「最近、何もかもが上手く行かない…違いますか?」 彼女の言うことは確かに当たっている…しかし、もし何もかもが上手く行っていたら、こんな所に来るはず無い。 インチキ占い師が良く使う手だ。とりあえずそう言っておけば当たるのは必至なのだ。 「明日の夜9時、ここに来なさい…さすれば、必ずあなたの転機は訪れますよ‥ちなみに一回千円です」 「ふん‥インチキ占いか…」 そう言いながらも、俺は千円を彼女に差し出した。 もういらない。食欲も無いし、したいことも無い。 その後、彼女は適当に占いを始めた。
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