桜舞い散る転校生

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二日前― 「アスカ、私学校に行くわ」 突然堂々と宣言してきたミズハ。 テレビを見ていた俺はリモコンを置き一息つくともう一度尋ねた。 「学校に行くわ」 「おい、何故そうなる。お前は探さないといけない物が有るだろうが」 そう― 数日前、逃げてきたミズハを追ってきたネメシスの一員ウォールと戦い、激しい戦闘の末勝利した。 その時、ウォールからの情報で俺達の世界に唯一在るといわれる神器“根源の書”にアルカナへと帰る為の方法が載っているかもしれない…。 アルカナに混沌と邪神アストライアの復活を目論む組織の一員の情報を信用していいのか迷ったが、今はこの情報だけが頼りだ。 こうしている間にも世界は破滅へと向かっているかもしれないだからこそ早く“根源の書”を探さないといけないのだが…。 「だからこそよ。私はまだ身の回りの事は出来るようになったけど、肝心なことをまだ知らないわ」 「肝心なこと?」 「―知識よ」 「知識だあ?知識何て別に学校に行かなくても、本とかテレビで学べるだろう」 「まぁ、そうだけど…」 珍しく口籠もるり人差し指と人差し指でつんつんと突きだした。 子ども見たいな態度に少し驚き、甘いな~と、思いつつ渋々。 「あーはいはい分かった、分かった。学校に行かせてやるよ…ただし…」 ソファーから起き上がり、二階の自分の部屋に行きしばらくして何かを持って下りてきた。 手には“小学生にも解る数学”と書かれているノートを持ってきていた。 「これを全部出来たら行かせてやるよ」 ミズハにノートを渡し、『見ておきなさいよ…!』と言い残し、一階の奥にある自分の部屋に籠もった。 ―そして見事、全問正解したミズハは晴れて高校生として入学した。
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