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孝太郎さんはあやすように優しく背中を叩き、木村さんんの顔を覗き込みました。
「木村」
「ふぁい」
半泣き状態の木村さん。
目は充血していて、おまけに鼻声なのに。
何故こんなにも可愛いのだろうか。
「松本と何かあっただろう」
木村さんはピクリと肩を震わせます。
「広瀬とも何かあっただろう」
今度はジワリと顔を赤らめました。
眉をひそめる孝太郎さんの様子に、木村さんは慌てて付け加えます。
「でもでも、ちゃんと好きな人がいるって話しました!」
「そうかそうか」
まずは一安心。
「木村。俺達の関係は卒業してからだ」
そう言うと、木村さんは寂しげに顔を歪ませましたが、段々と冷静になってきたようです。
「……分かりました。ワガママ言ってごめんなさい」
うんうん、良い子だ。
「だから、木村」
「はい」
「選んでいいんだぞ」
「……ハイ?」
瞬時に理解できず、木村さんはぽかんと孝太郎さんを見つめました。
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