境界線

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「なんかシローちゃん必死じゃない?」 冗談で言ったのに、シローちゃんがムッとして 「当たり前だろ。付き合ってくれって説得してんだから必死に決まってる」 久しぶりにゲンコツを頭に落としてきた。 痛い。 「説得ってなんで」 頭を押さえて訊いたら、大きな溜息が聞こえた。 もちろん溜息は私じゃなくて、シローちゃんから聞こえた。 あきれてるなーこの顔は。 「俺が未咲と付き合いたいから」 「そんなに?」 「バカ未咲。どんだけ一緒にいたと思ってんだよ」 頭の中で数えながら指を折ってみる。 「えっと、3年」 「3年経って今さら他に持ってかれるとか黙っとけるか」 「は?」 こんなにいっぱい喋るシローちゃんは、珍しい。 ものすごく。 普段ももしかしたら私と一緒で、口に出さずに頭の中でいっぱい喋ってるのかなあ 「もう諦めろ」 「何を?」 ボソッと言われたから訊き返したのに、シローちゃんが返してくれない。 あれ?もしかして独り言に返事しちゃった? 「お前、俺がいないと生きていけないだろ」 「は?さすがにそんなことないし」 強気で答えたけど、ちょっと自信がなかったから声が小さくなった。 私の毎日に、なくてはならないもの。 高校での思い出と生活には、1番にシローちゃんが出てくる。 なくてはならないものの中に、確かにシローちゃんが入ってる。
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