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この行為を終えれば慢性的な疲労感から解放され、日々の苦痛に悩まされる事はなくなる。
今日、学校へ来ることは億劫で、行為に及ぶことにも身体中のエネルギーがいることを知れた。
欲しい物は無く、不満を抱くほどに欠損しているわけでもないが、こうしている事が怠くて仕方がない。
ようやく刃が首筋に触れるか触れないかのところで、廊下から足音が聞こえてきたので、
カッターナイフを首から遠ざけ、鞄の中に隠し、
僕以外に朝早くこの教室に訪れる人間を見て、その人物の前で行為に及ぼうと考えたのだった。
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結果として僕は死ぬことはできなかった。
入って来た男子生徒が僕を見て、たった一言「おはよう」と挨拶し、
僕の名前を呼んだのに驚いてしまい、行為に及ぶ気力を無くしてしまったからだ。
彼の名は久津木 六夜(クツギ リクヤ)、自身を『コンプレックス塗れのクズ野郎』と称する彼に出会い、僕は興味を持ってしまった。
生きる事に難儀している人間同士惹かれる要素があったのだろうか、と後になって考えたが結局のところ分からなかった。
彼は腐れ縁の幼なじみと距離を取るために避ける道を選び、朝早く学校へと来た。と本人が言っていた。
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