Gray Color

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  紅葉や銀杏の木からは葉が全て落ち、代わりに白い雪の花が枝に咲く季節、 僕は母親が「こんなに早くに学校行くの?」と尋ねる時間に家を出て、歩いて登校する。 道路を挟んだ歩道には雪が積もっており、人が歩いた痕跡や自転車が通った後は無い。 雪こそ降ってはいないが、厚い雲に覆われた空は太陽を遮っているため、辺りは薄暗い。 その所為で白く化粧された肌は灰がかり魅力は半減してしまっている。 道路を二、三台の自動車が通過するが人影は見当たらず、 電信柱や街路樹が仁王立ちして、僕がその横を通り抜けるのを見下ろしている。 電線や木の枝が雪の重みに耐えれず、弦は弾かれ不細工な短音を奏でた。 道中、自動車のエンジン音と自然の音痴な歌以外には何も聞こえない。 「他にも」と言うなら僕の雪を踏む音と側溝板を鳴らす音が静かな朝に呑み込まれていった。 ────§─────§──── 結局、僕は学校の校門をくぐり、校務の人と顔を合わせるまで誰とも顔を合わせることはなかった。 外履きから上履きに履き替えて、教室に向かう途中、光に反射し自分の姿が映る。 顔の表情は読み取れない。のっぺらぼうのようだと思い、窓から視線を切って突き当たりに焦点を絞り進んでいく。
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