34人が本棚に入れています
本棚に追加
「俺たちが子供の頃、北海道で花音と会った。これは前に話したね?」
私は小さく頷いた。
「夏が終わり、俺たちは東京に帰った。でも、俺は毎年一條家に行っていた。花音に会いに…でもそれは俺の個人的な感情で、本来の目的は違っていた」
「本来の目的?それはなんなの?」
穏やかに微笑む有人は、どこか少し悲しげに映った。
「花音のお姉さまのお相手を務めるためさ…」
「私の…お姉さま…」
衝撃的な言葉だった。
私に姉がいたことなんて、今まで聞いた事がなかったから…
「驚いたろ?」
そっと私の手を包む有人の手が、緊張からか少し冷たく感じた。
.
最初のコメントを投稿しよう!