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身体から湯気が出そうなくらい温まってバスルームを出ると、部屋中に甘い香りが漂っていた。 「わぁ…!!」 テーブルの上にはミルクをたっぷりと含んで焼き上げられた、美味しそうなフレンチトーストとサラダ、イチゴが散りばめられたヨーグルトが用意され、主が席に着くのを待ちわびていた。 「お待たせしました。ただ今アイスコーヒーをお淹れします」 口元を緩ませて彼が軽く頭を下げる。 捲った腕のシャツはきちんと整えられ、キッチンもちゃんと片付けられていた。 …さすが…沖田さんのお孫さんね… 「ありがとうございます。いただきます」 甘い香りに誘われて、席に着くなり直ぐにフレンチトーストを口に運んだ。 「……ん…美味しい!!」 「ありがとうございます…アイスコーヒーはこちらに…」 音もなくテーブルにアイスコーヒーが置かれると、彼のしなやかな指先が目に入り、小さく胸がドキッと跳ねた。 .
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