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「実は…」
「うん…なにかしら?」
彼が顔を近づけて声を潜めて話し出すので、つられて私も身を乗り出した。
「実は、この沖田もあまり慣れていないのです…」
「…………えっ?」
なんと言うか、あまりに意外な言葉だったので、拍子抜けしてしまったというか…
椅子の背もたれに身体を預けた彼は、肩の力を抜くように話し出した。
「執事の教育は受けました。どんな方にお付きしても、恥ずかしくない程度にはです。だから、今回初めてお付きするご主人様はどんな方だろうとワクワクしていました」
…それはどういう意味だろう?
執事として付く主人が私で、落胆したと言いたいの?
…まぁ、それは仕方のない事でしょうけどね…
「……すみません…私で…」
口を尖らす私に、彼は頭を掻きながら言った。
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