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「そうね。小百合さん、お引き取り頂けますでしょうか?」 立ち上がろうとしたその時、小百合さんが呟いた。 「風間俊太郎様とのご結婚の話…」 「えっ?」 風間俊太郎の名前を聞いて、私も有人も目を見張った。 「風間俊太郎様とのご結婚の話、無かった事にして差し上げても良くってよ?」 有人の解雇と風間俊太郎さんとの結婚話と、いったいどんな関係があるのか理解出来ずに、私は唖然としてしまった。 「沖田有人を解雇してくださいますね?」 更に小百合さんの強い声が、追い討ちをかける。 「……解雇……しません」 小百合さんに交換条件を出されたって…俊太郎さんとの話を無かった事にしてもらったって…有人が居なくなっていたら… とても頷ける話ではなかった。 それに、いまユノさんが風間家を探ってくれている。 小百合さんに力を借りる事はないはず… 「…分かりました。暫く時間を差し上げましょう。よく考えてお返事をください」 .
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