―10―

16/24
前へ
/270ページ
次へ
「…ジュン…さん?」 「少しだけ…少しだけですから…」 耳元でジュンさんのハスキーボイスが囁いた。 「…僕らは…小さかった花音様に恋をしました…」 「えっ?」 顔を見ようとすると、その動きをジュンさんがきつく私を抱きしめて遮った。 「でも、有人の想いには敵いませんでした…だから、ヒーローもチャミも執事を諦めたんですよぉ?みんな花音様の執事になりたかったんです…」 「私の執事に?」 「…はい」 背中のジュンさんの手が、頭を優しく撫でる。 「有人はずっと花音様しか見ていませんでした…知っていましたかぁ?花音様と初めてあった夏の北海道。あれから毎年有人は北海道に行ってたんですよぉ?」 「えっ?」 有人が毎年北海道に? 初めて知る事だった。 .
/270ページ

最初のコメントを投稿しよう!

34人が本棚に入れています
本棚に追加