―1―

6/17
前へ
/270ページ
次へ
『おはよう花音。寂しくはないかな?今朝の沖田は、少し寂しそうだぞ?そうそう、花音が心配だから、執事をそちらに向かわせた。沖田の孫だから心配するな。沖田有人(ゆうと)くんだ。』 「……ん?執事?……えーーーー!!」 執事なんていらないでしょ? 私の念願の一人暮らしはどうなるの? それに沖田さんの孫って…… お祖父様が心配するのは解るけど、今の私には執事は必要ないのにぃ…… 焦って汗ばむ手で、お祖父様に返信を打とうと私はベッドの上に座り直した。 「えっと……なんて返したらいいかしら…お祖父様を傷つけないように…うんと…」 『おはようございます、お祖父様。そんなに寂しがらない様に伝えてください…』 ―ピンポ~ン… そこまでメールを打ち終わると、突然ドアチャイムが鳴った。 「…えっ?まさか…」 顔から血の気が引いていくのがわかった。 「まさかよね…」 ―ピンポ~ン… 応えない私に、またドアチャイムが鳴った。 .
/270ページ

最初のコメントを投稿しよう!

34人が本棚に入れています
本棚に追加