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「は…はぁ~い!」
ドアチャイムに弾かれる様にベッドから立ち上がると、急いで玄関に向かった。
「どちら様でしょうか…」
『一條花音様のお部屋でしょうか?沖田有人と申します』
やっぱり来てしまった…
「…あっ、はい。今ドアを開けますので…」
さすがにお祖父様、やる事が早いわ…
「うん、事情を説明して帰っていただこう…」
小さな声で呟くと、気持ちを変えてドアを開けた。
「お待たせして申し訳ありませんでした。沖田有人と申します。花音様の執事を仰せつかりました」
意外と背の高いその人は、落ち着いて話すと深々と頭を下げた。
「あ…お祖父様から連絡がありました…と…とりあえず中に入ってください」
「はい。失礼致します」
傍らに置いた大きなトランクを軽々と持ち上げた彼は、表情一つ変えずに部屋に入ってきた。
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