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そのまま俺と玲那は2人で体育館に向かった。どうやら玲那は、2年前と変わらずに接してくれている様だ。
つまりは俺が考えすぎだったってコト。 ホッとため息をついていると、玲那が不思議そうな眼差しで俺を見てくるではないか。
「………?」
その瞳は全てを語っている。『ため息なんてついてどうしたの?』と。
「いや、なんか安心してさ」
「安心……?」
言うのもなんだか恥ずかしいが、俺は胸の内を打ち明けるコトにした。
「玲那とこうやって話すのも久しぶりだろ?なんか怖くってさ。前と同じように付き合ってくれるのかなって」
まぁ無用な心配に終わった訳だが。自虐的な苦笑いすると玲那が俯く。
どことなく頬を染め、恥ずかしそうにして。
「……忘れる訳ない、一紀のコト。嬉しい、また一紀と同じクラスになれて……」
「……………」
少し微笑んで、袖を握る力が強くなったのが分かった。 それってもしかして…………いやいやいや!!
そ、そりゃあ玲那位になると人の顔を覚えるのなんて造作も無いコトだろうし!!俺の考えすぎだって!!うん、そうだよきっと……。
「一紀は、嫌だった?」
「滅相もございません!!」
咄嗟にその場でダイビング土下座をする。 周りの視線が一気にこっちに向く。
今の俺には羞恥心の欠片もなかった
「そう……良かった……」
その一言に、俺は顔を上げる。玲那は優しく微笑んでいた。あぁ……癒される……。これなら、一年間頑張っていけそうだ。
「あと……恥ずかしいから立って……」
「……………」
気づけば、ほとんどの視線が俺たち2人に向いているではないか。
くすくすと笑いながら通り過ぎて行く人達。見るなぁ!!俺をそんな目で見るなぁ!!
「相変わらずですね。一紀さん」
ふと、そんな俺に声をかけてきた男が一人いた。聞き覚えのあるこの声はまさか……
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