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「誰だお前は!!」
「スパイダー……そのネタには乗りませんよ」
「チッ……」
立ち上がって、その男にビシッと指を突きつける。が、見事に潰されてしまった。ノリの悪い奴め………。
「元気そうでなによりです」
眩しい笑顔を振りまくこの男。名前は船川 諒平(ふなかわ りょうへい)。簡単に言えばイケメンだ、イケメンだ。大事な事なので2回言った。
ショートの黒髪の下に隠れる笑顔で、何人の女子のハートを射止めてきた事か……くっ。
一年の時は同じクラスで、初めての男友達だったりする。玲那同様、1年越しにも関わらず話しかけてくれたのが嬉しかったりする。
「あぁ、諒平も」
アメリカみたいなノリで握手なんかを交わして。自然と笑顔がこぼれる。
「クラスは?」
「3組です」
「あれ………?3組?あれ?」
一瞬頭が真っ白になる。
3組って誰のいるクラスだっけ……。首を傾げて悩んでいると、玲那が服を引っ張ってツッコミを入れてきた。
「一紀、一緒一緒」
「えぇっ!?」
「一紀、気づかなかった?」
いや、実は気づいてました。ちょっとボケていたと言っても過言ではないくらいにゴニョゴニョ……。
それを静かに潰すとはさすが玲那さん………。
「いやぁ、奇遇だなぁ………」
「………………」
そこで諒平が笑顔で沈黙している。なんか怖い。
「ま、まぁなんだ。これから一年よろしくな」
「はい、こちらこそ」
何気にこの3人の組み合わせは初めてで新しいかもしれない。新鮮なトリオで、今度こそ体育館に向かう。
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