再会

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そりゃ当然だろうな。 あそこに立っているのは、3年の中でもトップクラスの美貌を持つお方なんだからな。 あれが生徒会長の孔寺蓮 香須美。見た目の通り、ボンボンのお嬢様だ。それに加えて成績優秀、運動だってできる。背も高くて、まるでモデルの様だ。まさにカリスマタイプの女性。ただ1つを除いては。それはまた後程……。 さて、香須美が壇上に立ち、真っ赤な瞳が一同を見渡した後に礼をする。 そして 『新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます』 明るい声と笑顔で、そんな始まり文句と共に演説が始まる。 『今日から皆さんの新しい生活が始まります。中学の時とは違い、大人になると言う自覚を持たなければいけません。勉強も今までより難しくなりますし、よりいっそう対人関係にも悩むと思います。しかしこの学園に入学された皆さんなら、きっと乗り越えられると思っています。2年生の皆さんは、1年生の模範となる様、そして3年生はリーダーシップを取って。……皆さんと私は後1年しか関わりを持てませんが、共に頑張っていきましょう』 そして最後に、ニッコリと満面の笑みを振り撒く。その瞬間 「「うおぉぉぉぉぉぉおお!!!!」」 体育館が歓声に包まれる。香須美の名前を呼ぶ声、指でピーピーと音を出す奴、男だけかと思えば、女子からも黄色い歓声が上がっていた。 なんだこれ………。 『皆さん!皆さん静かにしてください!』 進行係りが言うものの、歓声は中々鳴り止まない。 そんな中で、香須美は髪を払って颯爽と壇上を降りていく。絶対内心喜んでるだろアレ……。 そんな喧騒鳴り止まない中、次に1年生代表からのスピーチがあった。 皆は香須美の方を向いている。あの1年も可哀想だよな……。あんな後にスピーチするなんて……。 群青色の髪で眼鏡をかけた、少し背の小さい男子が壇上に上がり、次第に体育館は元の静けさを取り戻していく。 香須美と同じように一礼した後、制服のポケットからガサゴソと原稿用紙を取り出す。緊張しているのか、表情が強張っていた。大丈夫なのだろうか……。 ついにスピーチが始まる。
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