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「香須美」
玲那が声をかけるそこには、さっきまで壇上にいた香須美の姿があった。
その周りには香須美ファンクラブらしき人達が、ヘイコラとついてきていた。
「ちょっとぶりね、玲那ちゃん。コイツに変なコトされなかった?」
「ゴルァ香須美ぃ!!テメェなにすんじゃあ!!」
俺はすぐさま立ち上がり、威嚇する。今ので分かる通り、香須美は性格に難ありだ。今俺を蹴ったコトからも察していただけると思う。
「久々に会うってのに、随分な言い草ね」
「久々に会った奴を蹴り飛ばす奴に言われたくないわ!!」
「最近どう?勉強の方は」
「って話を聞けよ!!」
俺と話してるかと思ったら、香須美が玲那の方を向いて談笑してるではないか。あぁ~もうイライラが募る……!
「新学期早々うるさいわね……」
耳を指で塞いで、面倒そうに目を細める香須美。誰のせいだ誰の!!
「まぁいいや……。で、生徒会長様が俺達に何の用で?」
「別に。見かけたから声をかけただけ。いけない?」
「いや」
良くも悪くも、香須美は昔と変わっていないみたいだ。それを見ると、何だかんだで安心した。
「玲那ちゃんとはよく会うけど、アンタはどうなの?」
「なにが」
「上手くやってんのかって聞いてんの」
どうやら、変わったコトもあるみたいだな……。
「まぁ、ボチボチ。……んで、玲那。続きなんだけど」
「うん―――」
「玲那!」
「「え?」」
また遮られた……。が、どうやら今回は様子が違う。この流れだと愛華とかが来そうだが……。聞こえたのは、まさかの男の声。俺と香須美はまさかと思い、声のする方に同時に向く。
「あれ、貴方……」
その声の主を見た瞬間、香須美がキョトンと目を丸くする。
いや、して当然だ。なんたって、俺だって驚いてるんだから。
「……那月(なつき)」
「「……え?」」
更に、この玲那の反応である。
俺と香須美は、再び玲那を同時に見る
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