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「どういうコト、玲那……!」
いや、そりゃこっちの台詞だって。
眉間にシワを寄せて、いかにも『僕は怒ってるんだぞ』空気を滲ませてるこの男は、さっきまで壇上で顔を真っ赤にしていたショタッ気溢れる少年なんだから。
「その男、誰!」
「ん?どいつ?」
「お前だよそこの茶髪ヤンキー!!」
後ろを向いて探す振りをすると、強烈なツッコミが返ってきた。
「ヤンッ……!?こ、これは地毛だ!!ヤンキーじゃねぇし!!」
「うるさい!さっきから玲那にベタベタして……何なんだ!」
「何ってお前……。お前が何なんだよ」
すげー偉そうだし。
まぁ、間違いなく玲那と関係があるのは間違いないが……。
「ちょ、ちょっと待ってよ。事情を説明してよ」
そこに香須美が入り込む。さぁいよいよややこしくなって参りました。
「事情もなにもないですよ、生徒会長さん」
「はぁ?私達は玲那ちゃんの友達よ?知る権利くらいあるわよ」
「うるさいな、ギャルみたいな髪して」
「ギャ、ギャル!?私のどこがギャルだってのよ!!」
この少年、中々やりおる……。いちいちツッコミが鋭すぎる。
「いや、香須美のそれはギャルだわ」
「余計な口出ししないで!!」
怒られた。
しかし、このままでは拉致が明かない。ここは玲那に直接聞いた方が良さそうだ。
それを察してか、香須美と少年が言い争ってる中に玲那が割り込んだ。
「香須美、ごめん。この子、私の弟なの」
「「……………………」」
その瞬間、俺と香須美は沈黙し、硬直する。
今、なんて……?
「れ、玲那ちゃん。よく聞こえなかったみたい……。もう一回言ってもらってもいいかしら」
香須美もよく聞こえなかったみたいだ。
すると玲那はその少年の前にたち、俺達をジッと見つめる。そしてもう一度
「この子は相條 那月(あいじょう なつき)。私の弟なの」
ハッキリと、そう告げるのだった。
オリエンテーション後の渡り廊下。そこは、いつになく沈黙に包まれるのだった。
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