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「「えええええええええ!!?」」
おれと香須美の叫び声が渡り廊下に響いた。
「玲那に弟ぉ!?」
そりゃ、驚きだってする。今の今まで、玲那は独りっ子だって思っていたから。それは香須美も同じだったらしく、驚きを隠せない様だった。
「ちょ、そんなの初耳よ玲那ちゃん!」
「うん、ごめん。さっき一紀には言おうとしたんだけど……」
あぁ、そういうコトか。
さっきから玲那が俺に何か言おうとしていたのは、弟に関するコトだったのかもしれない。だって、玲那の弟が出てきてからの様子がおかしかったからな。
「そういうコト……。でも…」
香須美なりに納得した様だが、まだ腑に落ちないコトがあるのか、玲那の弟の那月を見ては侮蔑の眼差しを向けた。
「玲那ちゃんの弟には見えないわね」
「っ!どういうコトだ!」
すかさず威嚇する那月。
確かに、玲那の弟って感じはしないな。
「そのまんまの意味よ。弟ならそれくらい察しなさいよおチビちゃん」
「お前…!!」
「那月、やめて」
那月が飛びかかろうとした時、その腕を掴む玲那。
もちろん、反抗する。
「離せよ!」
「今回は那月が悪い。謝って」
「っ……姉ちゃんまでそんなコト言うのかよ……!!もう知らない!!」
「あっ……」
そう言って玲那の手を振り払い、泣きそうな顔になって那月は1人校舎に駆けていくのだった。
あれ……姉ちゃんって……
「ごめん……。一紀、香須美……」
1人残された玲那は、眉を垂らして俯きながら俺達に頭を下げる。
「いや……なんていうか……」
思春期だなぁ、と我ながらに思うのだった。玲那のコトを呼び捨てにしてたかと思えば、急に素に戻る。
俺達もちょっとは意地悪だったかな……。でも、可愛らしいところもあるじゃないか。弟らしくないとは言っても、外見は玲那を男にしたような容姿なのだ。背も小さい。多分、160行ってないんじゃないだろうか?
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