Prologue

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それはそうと、今俺の目の前を歩いているこのちっちゃな幼馴染み。 コイツの名前は紅川 愛華(あかがわ あいか)。高校生にしてはかなり身長の低い、140cmのミニマムサイズな女の子だ。 ちなみに胸もミニマ……ゲフンゲフン。 どうやら本人は物凄く気にしているらしく、そのコトに触れると怒りだすので注意だ。 しかしながら、日本人独自の少し紫がかった、腰まで伸びた綺麗な黒髪は見事なもので、ついつい見とれてしまうコトもしばしば。 あと、頭のてっぺんに内側に丸まったアホ毛が一本。目立った特徴と言えばそんなところだろうか。 俺達が通う学園でも、そのキュートで人懐っこい容姿から、男女問わずに人気がある。まぁ、幼馴染みで見馴れた俺からすれば「なんのこっちゃ」って感じなんだけどな。 誤解があっては困るから加えて言っておくが、コイツがこうやって毎日朝ごはんなり面倒を見てくれているのは、隣人のよしみだからだ。俺の両親が遠くに出張に行っているから、その間の 面倒を紅川家が見てくれるコトになった。そういうコトだ。 別に恋人同士だからどうのこうのって訳ではない。 「さっきから何ブツブツ言ってんの?今日のいっちー、なんか変」 そう言えば言い忘れてた。 俺の名前は稲葉 一紀(いなば かずき)。愛華がさっきから俺のコトをいっちーいっちーと呼ぶのは、一紀の一から取ってのコトだそうだ。ゴリ押し感MAXだが、これはこれで気に入っていたりする。 「ちょっと!聞いてる!?」 愛華が背伸びをして、頬を膨らませながらズイッと迫ってくる。でも全然迫力がない。背伸びをしても俺の顎にも届かないからな。 「別に何も言ってないよ」 「あぁっ!!ちょっ、折角セットしたのにぃ!!」 ワシャワシャと頭に手を置いて撫でると、あたふたしながら俺の手を退かそうとする。が、前髪が妨げになっているみたく、手は宙を舞っていた。 ふっ……可愛いやつめ
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