Prologue

6/8
前へ
/264ページ
次へ
「じゃあ私、ここでいくねっ!!」 またまたしばらく話しながら歩いていくと、小学校へ続く分岐点の交差点が見えた。 てんちゃんはここから小学校へと向かう。友達っぽい姿もこっちに向かって手を振ってきている。 「おう、がんばって」 「がんばってね、てんちゃん♪」 「うんっ!!」 手を振りながら遠くなっていくてんちゃんの後ろ姿。その背を2人で見つめる。 「……じゃあ、私たちもいこっか♪」 「あぁ」 てんちゃんの姿が小さくなってから、俺たちも再び歩き出す。 話を戻すようだが、俺もクラス編成が気になっていたりする。せめて1人くらいは知り合いがいてほしいものだが……。 「うわぁ……。すごい人……」 校門についてから早速目についたのは、人、人、人の群れ。 その中心には、クラスが張り出された紙。皆が我こそはと、まるでバーゲンセールの様に立ち位置を奪い合っていた。 その人だかりに、愛華は気圧されていた。 「潰されんなよ」 「失礼な!!私そんなちっちゃくないもん!!」 俺が言うと、キーッと歯を食いしばり、顔を赤くしながらポカポカと叩いてくる愛華。 いや、そんな身長で言われても説得力ないですぜ。あの集団の中に入った途端に見えなくなってしまいそうだ。それこそ、人ごみが消えた瞬間にペラペラの愛華が出てきたりしてな。 ムキになった愛華は、ずんずんと人ごみの中に突っ込んで行った。 ……一応心配だし、ついていってやるか。 「うー!!見えないー!!」 ほら見たコトか。人ごみの中に入った瞬間、愛華はまるで小学生の様にすっぽりと隠れてしまっていた。 ジャンプをしてなんとか掲示板を見ようとしているが、悲しいかな。無意味だった。 「しょうがないな、探してやるよ」 「うえぇ……。本当ぉ……?」 ウルウル瞳を潤ませる愛華。泣くほどのコトでもないだろうに……。どれどれ 紅川の字を探す。文系の就職組だから、ある程度は絞られる。……ほら、見つかった。
/264ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2066人が本棚に入れています
本棚に追加