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「じゃあ私、ここでいくねっ!!」
またまたしばらく話しながら歩いていくと、小学校へ続く分岐点の交差点が見えた。
てんちゃんはここから小学校へと向かう。友達っぽい姿もこっちに向かって手を振ってきている。
「おう、がんばって」
「がんばってね、てんちゃん♪」
「うんっ!!」
手を振りながら遠くなっていくてんちゃんの後ろ姿。その背を2人で見つめる。
「……じゃあ、私たちもいこっか♪」
「あぁ」
てんちゃんの姿が小さくなってから、俺たちも再び歩き出す。
話を戻すようだが、俺もクラス編成が気になっていたりする。せめて1人くらいは知り合いがいてほしいものだが……。
「うわぁ……。すごい人……」
校門についてから早速目についたのは、人、人、人の群れ。
その中心には、クラスが張り出された紙。皆が我こそはと、まるでバーゲンセールの様に立ち位置を奪い合っていた。
その人だかりに、愛華は気圧されていた。
「潰されんなよ」
「失礼な!!私そんなちっちゃくないもん!!」
俺が言うと、キーッと歯を食いしばり、顔を赤くしながらポカポカと叩いてくる愛華。
いや、そんな身長で言われても説得力ないですぜ。あの集団の中に入った途端に見えなくなってしまいそうだ。それこそ、人ごみが消えた瞬間にペラペラの愛華が出てきたりしてな。
ムキになった愛華は、ずんずんと人ごみの中に突っ込んで行った。 ……一応心配だし、ついていってやるか。
「うー!!見えないー!!」
ほら見たコトか。人ごみの中に入った瞬間、愛華はまるで小学生の様にすっぽりと隠れてしまっていた。
ジャンプをしてなんとか掲示板を見ようとしているが、悲しいかな。無意味だった。
「しょうがないな、探してやるよ」
「うえぇ……。本当ぉ……?」
ウルウル瞳を潤ませる愛華。泣くほどのコトでもないだろうに……。どれどれ
紅川の字を探す。文系の就職組だから、ある程度は絞られる。……ほら、見つかった。
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