Prologue

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「愛華、5組だってさ」 人ごみがヤバいから、動きにきくい体をやっとこさ捻って見たのは愛華のアホ毛。 「知ってる人いる!?」 「いない。てか、愛華の知り合いなんて知るわけないじゃん」 「かすみんとかれーなとかいるじゃん!!」 「またお前……懐かしい名前を…」 ホントに久しぶりだ。1年の時には一緒だった玲那(れいな)も香須美(かすみ)も、2年になってクラスが変わったっきり、会うコトが少なくなった。だから、その2人の名前を聞くのも久々だ。 「懐かしくないよー!!れーなもかすみんもよく一緒に遊ぶもん!!」 「そうなのか?でも残念だな。香須美は理系、玲那は文系だけど進学組だ」 噂ではチラッとは耳にしていた。なんせ、ウチの代の三大美女だからな。噂なんてしょっちゅう耳にする。その面子こそ、愛華、玲那、香須美というわけだ。 「そっかぁ……。じゃあ、いっちーなられーなとワンチャンあるかもね♪」 「あぁ、そう言えばそうだな」 ハッと閃き、おもむろに掲示板に目を通す。俺は3組だ。玲那の名字は相條(あいじょう)だから……あ、あ…。 あった。俺の数個上に、相條玲那の字が。 知り合いいたぁぁぁぁぁああ良かったぁぁぁぁぁぁ!! 「玲那いた」 「ホント!?やったじゃん♪」 あくまで、あくまでクールを装う。内心めっちゃ嬉しい。 仮にも、1年を共に過ごした人と再会するんだ。気分も上がる。 「いーなぁ、いっちー。知ってる人がいてー」 「グチグチ言ってないで、行くぞほら」 「ぶー」 愛華の手を引いて玄関に向かう。 そうか……玲那と一緒のクラスか……。嬉しい反面、ちょっと緊張する。また1年の時の用に接してくれるだろうか。 まぁ、なるようになるか。 玄関から校舎に入る。俺達3年生の教室は、4階ある内の2階に位置する。 階段を登る手間が省けるだけだが、地味に助かる。 「じゃあいっちー、ここでね」 「あぁ」 俺が3組に付き、愛華と別れるコトになった。 あんな不安を洩らしてるが、愛華ならやってけるだろう。心配はしていない
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