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おでこ同士をくっつけ先輩の目を見ると泳いでいた。心なしか頬も赤くなっているように見える。
「…勘違いしますよ?先輩も俺のこと好きだって。キスしてくれるくらい大好きだって」
だって、嫌いな人ほど甘えないし我が儘言わないし素の自分を見せないじゃないですか貴方。
決定的な言葉だったらしい。耳まで真っ赤に染め、俺の胸に顔を埋めてきた先輩。しかも俺のシャツを握りしめていた。萌えポイント刺激しすぎっ。
「……っ、ごめ、マジごめんっ」
「何で謝るんですか?」
「だって俺断ったし、気持ち悪いって……」
「あぁ、あれは相当きました」
びくっと先輩の身体が震えた。その身体を優しく抱きしめる。
「でも、それでも側に置いてくれた。嫌なはずなのに貴方は優しいから……」
「優しくなんかない!」
勢いよく顔を上げ、今にも泣きそうな目をしていた。
「俺は…、自己中な人間だ。断っといて側に置こうとするし、離れたくなくて離したくなくて俺以外に目を向けてほしくなくてお前の友好関係にもケチつけて詮索してっ!……」
「嬉しかったです」
嬉しかった。独占しようとしてくれた。嫉妬してくれた。無意識だとしてもそれって“恋”って言いませんか?
彼の頬に手を添え、俯いている顔を覗き込む。
今の俺は、きっと嬉しそうに笑っているだろう。いや、ニヤけている。確実に。
「……もう一度言います。好きです。俺と付き合って…くれますか?」
泣きそうで困惑していて、でも、幸せそうに微笑む世界で一番愛しい人に甘い甘い口づけを贈る。
互いの気持ちが通じあった証に。
_END H25/02/23
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