桜誕生日小説

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自分の人生が、他人より波乱万丈に思えるのはきっと幼馴染のせいに違いない。 親同士が仲が良いこともあって、古くからの名家に生まれた自分と佐ノ助は、生まれた時から幼馴染といってよかった。 室内で華や楽、茶や舞を楽しむ自分と違い、佐ノ助はじっとしていられない性質なのかすぐ家をでて悪さをしては怒られていた。 『なぁ、桜。部屋閉じこもっててもつまらないだろ?外に行こうぜ。』 『駄目よ。お母様にも怒られたばかりでしょう?』 『こんな堅苦しい家嫌だよ。俺は、もっと外の世界が見たいんだ。桜も一緒に行こう。』 外の世界が見たいんだ。それが、佐ノ助の口癖だった。 時には強引に自分を連れ出して外に連れて行くこともあった。 あまり外に行かない自分にとって、その景色はとても新鮮で。 嫌がるフリをしたけれど、本当は嫌じゃなかった。 佐ノ助はいつでもどこに行くときも、一緒だった。
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