第一話

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「それと、俺達を勧誘する理由と何の関係がある?」 「ロシア支部の襲撃の際、中心人物となれる人が居ない」 「なぜだ?」 「中心人物になれる人、即ち強者は首都機能移転の手伝いに駆り出されている」 それに、と付け加える。 「彼らの中に、敵と通じる者がいたらどうする? 確実に消される。その前に動くしかない」 直樹はアリスを見る。正確には、彼女の瞳を。そしてミハイルを見た。 「怪しいのは、俺達も同じじゃないのか? 悪いが、断る」 「そうか……残念だ」 ミハイルは引き止めはしなかった。二人は退出した。 代わるように、さっき二人を連行してきた兵士が入ってきた。 「大尉、あれでよかったのですか?」 「何を言っても無駄だよ。彼らは疲れている」 「……は?」 「どんな生き物にも、休息が必要だという事だ」 「つまり、彼らはその時だと?」 「そう言うことだ」 ミハイルはタバコを一本取り出し、火をつけた。 * 直樹はあまり広くはない個室で横になっていた。 変異種の襲撃によるモスクワの陥落……。ロシアの軍隊をしても止められなかった事実に驚いた。
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