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「それと、俺達を勧誘する理由と何の関係がある?」
「ロシア支部の襲撃の際、中心人物となれる人が居ない」
「なぜだ?」
「中心人物になれる人、即ち強者は首都機能移転の手伝いに駆り出されている」
それに、と付け加える。
「彼らの中に、敵と通じる者がいたらどうする? 確実に消される。その前に動くしかない」
直樹はアリスを見る。正確には、彼女の瞳を。そしてミハイルを見た。
「怪しいのは、俺達も同じじゃないのか? 悪いが、断る」
「そうか……残念だ」
ミハイルは引き止めはしなかった。二人は退出した。
代わるように、さっき二人を連行してきた兵士が入ってきた。
「大尉、あれでよかったのですか?」
「何を言っても無駄だよ。彼らは疲れている」
「……は?」
「どんな生き物にも、休息が必要だという事だ」
「つまり、彼らはその時だと?」
「そう言うことだ」
ミハイルはタバコを一本取り出し、火をつけた。
*
直樹はあまり広くはない個室で横になっていた。
変異種の襲撃によるモスクワの陥落……。ロシアの軍隊をしても止められなかった事実に驚いた。
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