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ミハイルには悪いが、変異種の戦力がわからない以上、襲撃に参加するなどという無謀なことはできない。しかも、人間だって居るだろう。人殺しにはなりたくなかった。
ドアがノックされる。直樹はドアを開けた。
「こんにちは……」
ギョッとした。前髪は完全に顔を隠しているし、後ろ髪は足首まで。昔、こんなお化けがでる映画があったらしいが、さぞ、怖いだろう。
ただ、その主が、しばらく前にぶつかった人物だとわかる要素にもなった。
「先程は、すみませんでした」
「あ、いや。俺も悪かったし……って、どうしてここが?」
「聞いてきました」
「あぁ、そう……」
「少しお邪魔しても、いいですか?」
「ん? あぁ」
彼女は靴を脱いで入る。
「私、人の家に入るのが初めてなんですよ」
「そうか。悪いが借家だ」
「でも、こう……今まで過ごしてきた生活感が」
「悪いが今日から住むんだ」
「だとしても、やっぱり他人が暮らす空間という……どうしました?」
彼女はげんなりとした直樹を見る。
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