第一話

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ミハイルには悪いが、変異種の戦力がわからない以上、襲撃に参加するなどという無謀なことはできない。しかも、人間だって居るだろう。人殺しにはなりたくなかった。 ドアがノックされる。直樹はドアを開けた。 「こんにちは……」 ギョッとした。前髪は完全に顔を隠しているし、後ろ髪は足首まで。昔、こんなお化けがでる映画があったらしいが、さぞ、怖いだろう。 ただ、その主が、しばらく前にぶつかった人物だとわかる要素にもなった。 「先程は、すみませんでした」 「あ、いや。俺も悪かったし……って、どうしてここが?」 「聞いてきました」 「あぁ、そう……」 「少しお邪魔しても、いいですか?」 「ん? あぁ」 彼女は靴を脱いで入る。 「私、人の家に入るのが初めてなんですよ」 「そうか。悪いが借家だ」 「でも、こう……今まで過ごしてきた生活感が」 「悪いが今日から住むんだ」 「だとしても、やっぱり他人が暮らす空間という……どうしました?」 彼女はげんなりとした直樹を見る。
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