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「カミヤ……ナオキ……さん? ですか?」
「そうだ。で、お前は?」
「私の名前……ですか?」
「それ以外何がある?」
「BWHとか年齢とかありますよ?」
座っているために髪の毛がかなり広く広がっている彼女は、顎に人差し指を当て、しばらく考え込む。
「……内緒です」
「……はぁ?」
「だから、内緒です。美少女には秘密が多い方がいいでしょ?」
「……そうか。人に名前を言うという基本的なことすらできないのか。なら出て行ってくれ。それに、お前が美少女か全くわからん。聞いているだけだと色々と痛いだけの人だぞ」
直樹は一気に言った。
「神谷さんって……酷いんですね……。わかりました。教えますから追い出さないでください」
彼女は輪郭を隠してしまうほど長い前髪をかき分け、直樹に向く。そこには青白い顔があるなどと言うことはなく、白い肌に黒い瞳、整った顔。美少女だった。ただ、左目だけおかしく、グラグラとせわしなく動いていた。右目は眩しそうに細めるが、左目は変わらない。
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