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「クソッ! 通信が切れやがった」
ミハイルは翻訳機のチャンネルを変える。
「こちらα、応答願う」
ミハイルとその部下は、曲がり角に隠れる。バリケードの一つがあっさりと破壊された轟音が聞こえた。
『α、今の音、なにがあった!?』
「やべぇのが出てきた。人手をこっちに回してほしい」
『すまないが……犬の数が多く、手が足りない』
ミハイルは舌打ちをする。二つ目のバリケードが破壊された。彼は手榴弾を投げる。
『なんだ!? また破壊音だぞ!?』
手榴弾が爆発した。
「どうだ……」
禍々しい雄叫びが響く。
「なんて堅さだよ……」
『α、状況を報告しろ!』
「奴はバリケードを二つ破壊、手榴弾をまともに食らって無事ときた」
『種類は!?』
三つ目のバリケードが破壊される音が響く。
「引っかかったな、馬鹿が」
直後、仕掛けてあった爆薬に火がつき、大爆発を起こす。爆心付近にある壁や天井のパネルが吹き飛んだ。熱風が一瞬、ミハイルの体を舐める。
流石に足止めできたと思ったが……直後に重い足音。
「奴は……人型だ」
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