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「名前はジャパニーズじゃない。神谷直樹だ」
「そりゃ失礼」
直樹はミハイルと握手する。
「お前の女、とられないようにしろよ」
「悪いな、俺の女じゃない」
「そうなのか? こりゃ参った」
直樹は部屋を出て、隣の部屋の前に行った。
周囲には緩やかながらも監視の目がある。直樹でもわかるということは、監視していることをあえて気づかせているのだろう。
直樹は壁に寄りかかり、腕を組んで目を閉じた。
崩壊する研究所から脱出してしばらく、日本全域が変異種に占領されていることを知った。
さらに、変異種と思われる謎の生命体が世界各地で散発的に出現しているらしい。直樹はしばらく物思いに耽る。
「どうしたものか……」
「あ、直樹。先終わってたんだ」
部屋を出てきたアリスが声をかけてきた。
「まぁな」
「なんかムスッとした顔をしてたけどどうしたの?」
「いや、蚊が多くて困ってただけだ」
「そうなんだ。でも、確かに多いよね。どこ行く?」
「まずは荷物の回収。次に部屋の確認だ。お前も鍵貰ったか?」
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